製陶術のお話

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これこそ土の魔法と言っても過言ではない変化をもたらす「製陶術」。柔らかい土塊(つちくれ)が熱を与えることによって硬度が増す変化をもたらし、混ぜる土の種類で性質を変化させることができ、一連の過程で発色すら操る高度な魔法です。

製陶術は難易度の高い術式

削りの儀式で発生したひび割れ

材料の配合・割合、湿度や温度によって、土は時々刻々と変化します。特に磁器用の土は難しく、練りの過程で空気を含んでしまったために、削りの儀式を行う際、突如ひび割れが発生することがあります。主な原因は術者の体調と集中力だと言われており、気を込めて土を練らないとこうした現象が良く起こります。

製陶術は、配合、練り、成型、乾燥、削り、素焼、絵付、本焼、仕上と非常に多くの儀式を経過します。それぞれの過程で術者の気力が込められ、完成へと導かれるわけですが、100%完成することは練度がある術者でも希です。

本焼儀式失敗例(該当儀式時における非常に希な例)

上図は本焼儀式で失敗したときの貴重な記録です(ほぼこうしたことは起こりません)。絵付の柄が溶けてしまっています。この時は窯の中に入っていたモノすべて失敗となりました。熱がかかりすぎたことが原因の一つですが、そうなった根本的な理由は未だ解読班による調査が続いているためわかりません。
ほぼ10割の儀式が終わろうとする直前の熱暴走は、製陶術の難しさをあらためて考えさせられる現象です。

焼きの儀式の難易度

素焼儀式の準備

素焼・本焼(絵付けによっては数回)の儀式には窯を使うのですが、上図では右側に空間が生じています。この空間を埋めなければ儀式が失敗する可能性があり、火入れができません。またこの儀式は完全に見えない状態で行われるため、窯の中でどうなっているのか、経過途中で観察するわけにはいきません。割れたり変形したりすることを考え、同一形状のモノを複数成型してこの儀式に挑むのですが、すべて無事に最後の焼きの儀式を通過したものでも、完成と認める数個を選択する儀式が残っており、この儀式を通過したモノだけが世の中に出ていくことになります。

日々修行と鍛錬

山岳修行を行う製陶術者髙木亰次郎近景

気力と集中力を養い、絵付の技法上達のために、術者である髙木亰次郎は日々鍛錬を怠りません。写真は山岳修行へ赴く術者の勇士です。
こうした鍛錬と新しい術式の開発の末に、製陶術は成り立っています。