イツノクラプロジェクトのころ

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合同会社になる直前までのイツノクラです。基本的なスタンスは変わっていませんので、記録として残しておきます。

ITと伝統工芸(陶磁器)とクラフトとデザインサポート

イツノクラの陶磁器工房ガス窯

ITと伝統工芸。今までは生産工程の管理か販売促進のWebサイトまたはオンラインショップといった連携が主体でした。もちろんこれからもオンラインショップや販促サイトは必要でしょう。それとあわせて、イツノクラでは製品自体にITまたはIoTの機能を組み込み、まるで魔法が見えるかのような、または魔法で操っているかのような製品ができないか考えています。

イツノクラの主力となる伝統工芸製品は「陶磁器」です。一般に「美濃焼き」と言われるカテゴリに所属します。陶磁器工房は岐阜県多治見市市之倉に存在し、主に磁器製品の試作や陶芸作家としての作品制作に日々ろくろやガス窯や電気窯が稼働しています。
工房設備では、ろくろ整形/素焼き/染め付け/釉薬掛け/本焼き/上絵付けといった陶磁器全行程が可能です。(2019年現在型整形は対応準備中)
工房責任者・陶磁器製品開発は高木亰次郎が担当。

イツノクラの陶磁器工房電気釜
製品アイデア3Dイラスト(参考)

磁器製盆栽鉢の製作例(日本盆栽大観展出品作品より)

これらの設備に加え、現在イツノクラではAR(Augmented Reality)を軸に、製品とデジタル空間を結びつける研究開発をしています。ARは5G通信が一般化し、スマホ端末が対応を済ませると爆発的に増加すると考えています。陶磁器の絵付け、絵柄のデザイン、ARコンテンツの組み合わせによる新しい表現。これらのキーワードは陶磁器に限らず、伝統工芸製品と非常に相性が良いと考えています。
AR開発は伊藤昌輝が主担当。

研究中のアプリレスAR画面

※ARとは。
Apple・Googleをはじめ、FacebookやMozilla、Amazonといった企業が先陣を切って開発を進めている技術で、日本語では「拡張現実」と訳されます。

ARは技術も必要ですが、アイデアやキャラクターといったコンテンツが重要になります。こうした部分もスタンプコンテンツやロゴなどを開発しているデザイナーが中心になって担い、ブランディングへつなげながらマーケティングのお手伝いができるよう努めて参ります。
デザイン開発は伊藤あすかが担当。

スタンプキャラクター開発(参考)

こうしたキャラクターやARを活用した製品を告知したり、広報したりするためには戦略が必要です。販促サイト、販売サイト(サービス)、広報拡散…これらを俯瞰的に把握して設計する必要があり、この設計をもとにウェブサイトや各種SNSサービスを、技術的につなぐ方法と、ビジュアル的(認知的)につなぐ方法を連携して制作物を準備していくことも必要で、このあたりの設計に関してお手伝いができるよう、日々研究開発を進めています。
広報戦略設計(ブランディング)・組み立ては伊藤昌輝・システム・セキュリティ系の設計は青山信子が担当。

戦略概念図(参考)
遷移設計検討アイデア(参考)

伝統工芸のほかに、クラフト系の試作デザイン開発も行っています。布物系ではバッグ。小物ではアクリルを使ったものです。
クラフト開発は青山信子・日比野友香が担当。

こうしたアイデアや技術を持って、デザイン面・広報面でのサポートを行っていきます。

コトの発端。

プロジェクトメンバーは、京都造形芸術大学 芸術学部 通信教育部の学生・卒業生で構成されています。元来社会人として活動している私たちが大学の門を叩き、もう一度学び得た経験と意義を形にするため、デザインチームとして活動をはじめました。

主な活動目的は「伝統を理解しリデザインする」こと。「○○らしさ」を定義すること。

このため、私たちのチームは歴史調査を筆頭に、次世代へ繋ぐためのプロダクツデザイン計画、グラフィックデザイン計画を内包する形で構成されています。

私たちができること。いま、取り組んでいること。

私たちの行動原点に「市之倉焼」が含まれます。

市之倉は土を大切にした小物陶器に染め付けをして付加価値の高い品物を作ることに長けていました。現在でも全国杯生産シェアの約50%を持っており、多くの窯元が生産を続けています。しかし他地域の伝統工業と同様、染め付けの後継者はいなくなりつつあります。

このような現実の中、メンバーの一人は市之倉染付陶器の陶工とし、後継者に名乗りを上げ、市之倉発展に向けて活動を行なっております。小物陶器で培われた技術と共に、未来に向けた「新しい市之倉印の品物」の創造と、従来の方式に縛られない「焼き物のまち市之倉」の発展への思いを形にする協力を行なっていきます。

「陶器×○○」というスタンス

市之倉を含む美濃の製陶は素地成型と染付工程の両方を行います。他地域では素地成型はせず、多くは染付工程のみです。製陶には粘土の練り、轆轤(ろくろ)引き、削り、素焼き、絵付けなどの技能が必要です。加えて素地成型を行うリスクに、乾燥・素焼き工程での割れ、変形などが考えられます。このため成型工程で歩留まりを少なくするため、温度・湿度・粘土質や厚みなどの組み合わせが必要となります。美濃には素地成型工程を長年続けた結果、様々なノウハウが蓄積しており、あらゆるニーズに応えられる体制が整っています。

この強みを活かし、素地成形工程から絵付工程まで自由に組み合わせたプロダクツ計画の中に「陶器部品」を織り交ぜるといった設計が可能となります。また、絵付け工程の技能を活かしたパッケージデザインにも挑戦していきます。

私たちの強みはこの陶器部品を自由自在にコントロールできるところにあります。各地域の伝統的工芸品とのコラボレートにより、より新しく、高い文化価値を創造する可能性を感じて頂きたいのです。

IT技術・ネット活用に長けています。

伝統的なことに携わっていると意識されにくいIT技術ですが、私たちは常駐事務所を持たず、主に「仮想空間」を使って情報共有や各種制作・設計を行っています。 そのためこれら情報機器を活用することに長けています。

ネットを使った広報戦略や、情報共有サービスを意識した告知全般の計画立案(催事計画等含)とウェブサイト制作(WordPress/Tumblr可)。また直売をする仕組みを計画・導入することも可能です。

調査データのオープン化

来歴調査などで発見された資料など、公開できるモノは積極的にオープンデータとして活用したい方針です。オープンデータ化することにより地域産業の製品企画に少しでもお役に立てればと考えています。
(公開可否は当事者と相談を以て判断します)